日本の離婚率は高いのか
令和元年の離婚件数は208,489組(前年比156組増)でした。
同年の結婚件数が598,965組でしたので、3組に1組以上の割合で離婚している計算です。
ちなみに離婚件数がもっとも多かったのは平成14年の約29万件で、ピークに比べると3割ほど減少しています。
ただし、人口全体の減少と離婚が多い20~50代の比率低下を考えれば、離婚率が改善しているとは言いにくい状況です。
令和元年は令和婚ブームで7年ぶりに結婚件数が増えていた背景もあり、2020年はコロナ離婚が急増しています。
つまり、日本の離婚率はおよそ35~40%弱である可能性が高いでしょう。
果たしてこの数字は海外と比べて高いのか?日本の離婚率について幅広い角度から検証してみました。
海外との比較
総務省統計局が発表した資料(世界の統計 2017)にて、主要国ごとに人口1,000人あたりの婚姻率と離婚率を公表しています。(データは2015年)
日本は婚姻率5.1・離婚率1.8で、およそ3組に1組が離婚している計算です。
冒頭で紹介した令和元年のデータをはじめ、日本の結婚件数と離婚件数はここ数年35%前後の数字で安定しています。
続いて世界一の大国であるアメリカの場合は婚姻率6.8・離婚率2.8です。
婚姻率・離婚率ともに高く、結婚件数に対する離婚割合は40%を超えています。
あくまでもアメリカと比較した場合、日本の離婚率が特出して高いワケではありません。
このほか、主要国の傾向は以下の通りです。
- 中国 … 婚姻数に対する離婚率は非常に少ない
- 韓国 … 日本と同様の離婚率
- ロシア … 世界一離婚率が高い
- ヨーロッパの主要国 … 数字上は日本に近い
ヨーロッパに関しては、結婚しないで子供を産む家庭が増加しているため、結婚率・離婚率の統計だけで判断することはできません。
中国は世間体を気にする傾向が強く、主要国の中では離婚が少ないと言われています。
日本の離婚率は上昇中?
江戸時代の日本は離婚率4.8%で世界一離婚が多い国とされてきましたが、戦後の日本では離婚率が低下していました。
人口1,000人あたりの離婚率は昭和38年(1963年)の0.73がもっとも少なく、平成に入るまでは約1.5以下の水準をキープしていました。
平成に入ってから離婚率が増加したのは、次の要因が考えられています。
- 終身雇用の概念がなくなり経済的に困窮する家庭が増加
- 実家依存症の家庭が増加
- 孫の育児に口出しする親を疎ましく思うようになった
- ネットの普及で離婚しても孤独を感じにくくなった
- ネットがキッカケで浮気や借金をする人が増えた
- 若者の晩婚化(全体に占める若年層の授かり婚比率が増加)
このように、離婚率が高まったのは時代の変化に伴う環境も大きく関係しています。
意外に多いのが親を理由にした離婚で、新婚・子育て世帯だけではなく親(義親)の対応も大きく関係しているのかもしれません。
日本は人口密度が高く、昨今はお互いの地元も首都圏同士など、田舎が遠い人同士が結婚する事例が少なくなっています。
また、東京や大阪など人口が一極集中している大都市に住もうとする人が多い理由から、他人と関わる機会が増えて浮気をしやすい環境です。
このように、人口密度が高くて都市部への人口集中が著しい日本は、世界に比べて離婚しやすい環境です。
他の先進国と比較すれば結婚件数が少ないことから離婚率は平均的な水準で落ち着いていますが、将来的に結婚・出産ブームが起これば、それに比例して日本の離婚率は大きく増加するかもしれません。
離婚せず、夫婦関係の再構築を選んだ人たちについては下記ページをご参照ください。